2025年5月11日~16日にかけて、日本最西端の沖縄県与那国町、東京虎ノ門の『領土・主権展示館』、日本最東端の小笠原村の行政区である南鳥島へ行政視察へと行ってきました。
≪与那国町≫
1.国境離島として
自衛隊OBの町職員からの説明。2年前から与那国町で採用を進めたとのこと。
硫黄島と父島分遣隊のある小笠原でも、人材不足解消の一助になる可能性を感じた。
2.Uターン、Iターン政策について
15歳で島を離れた後に町に戻ってくることは少ない。町総合戦略で対策を練っている最中であり、課題としては住宅問題が大きいとのことであった。
Iターンの移住定住については、地域の祭事参加・交流を必須とした移住斡旋を行っている。取り組みによる移住者は増えたが、定住率が低いことが課題。
3.高齢者対策
特養の閉鎖は町議会でも取り組まれている。
人材の確保が困難であり、今後の有り方を県で検討していただいているとの事。
4.教育について
オンライン塾については、受講者の負担はテキスト代のみで、町が一括交付金を活用して実施している。小4~中3まで各学年2,3人が受講。忙しい時は休講して、テスト前は受講するなど、割と自由な受講体制。教室の利用管理も受託先で管理者を雇用して行っている。
給食は40年前に共同調理上を設置。それまでは各校で作成。小学校3校、中学校2校分を作り、配達を行っている。県から栄養士が派遣されており、共同調理場を設置した時からで、数年で異動していくとのこと。
5.ごみ処理施設について
ゴミ処理施設は近年新調された。総工費25億円のうち、90%は基地周辺対策交付金で賄われた。構造は八丈島のものとほぼ同じで、規模をやや小さくしたもの。プラスチックも燃やすことが出来るため、利便性が向上したとのこと。分別・搬出は行っていないようであった。
与那国をはじめとして、沖縄の離島町村では町村指定の有料ゴミ袋となっているとのこと。
また、島へのアクセスで言うと石垣島までは町民は片道五千円ほど、また、与那国島に歯医者が無いことから、通院のために石垣に渡る際には90%の補助があり、町民にとって石垣島が非常に近い島であることが感じられた。
村民との対話では、コロナ前5万人ほどだった観光客が、昨年度は10万人であったとのこと。一方で宿泊施設不足で日帰りの観光客も多いとのことであった。豊かな自然と歴史の有る与那国を考えると、自然ガイドや島内周遊ガイドの需要はあると感じ、今後の観光業の発展が期待できるのではと感じた。
≪領土・主権展示館≫
領土主権展示館では、北方領土、尖閣諸島、竹島に関する解説を受け、改めて力なくして国防は成り立たないという点を考えさせられた。
なお、竹島にニホンアシカという固有種がいた点は新たに知った。
≪南鳥島行政視察≫
計画されているミサイル発射試験場を確認。新たな構築物は無いとのことであった。港湾の完成にあたり、国土交通省から2名派遣され、AISおよびカメラによって周辺海域の警備が行われている点はこの度はじめて知る事となった。
また、電気や水といったインフラも気象庁が主体となって運用している点もはじめて知った。自衛隊の食糧に関しては、備蓄はあえて持たず、最優先で空輸されるという運用が行われているとのこと。本村行政区ではあるが、多くの方により支えられている実情が確認できた。なお、滑走路は場外離着陸場との情報を得た。
≪総括意見≫
国境離島の与那国、人口減少の課題はあるが、日に石垣から3便、那覇から2便の航空路と、フェリーによるアクセスの手厚さ、観光客数が10万人に上った点など今後の可能性を感じる島であった。
自衛隊を誘致したことにより、ゴミ処理施設も総工費25億のうち90%が基地周辺対策費から出ているとのことで、今後の他の施設の更新も基地周辺対策費を活用しながら進められるものと予見され、住民福祉の向上に寄与していることがうかがえた。
小笠原での給食も管理栄養士の確保が課題であると考えていたが、県から派遣されている事例を知ることで、東京都が離島の栄養士を確保していくという可能性があると感じた。前回視察の新島も管理栄養士の確保が課題としていたことから、都職員による実施とする事を東京島嶼各町村と連携して要望していくことを検討したい。
北方領土は日本の領土でありながら、島を追われた元島民はいまだ帰島できずにいる。あらためて北方四島の速やかな返還を願うとともに、力による現状変更には断固として反対するべきとの思いを固めた。
南鳥島は今後レアアースの精製設備が建築される可能性があり、その前に今回確認できた意義は大きく、建屋の建設は困難が予想されるものの建設推進を支持したいと思う。

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